前例がないからダメ

僕がまだ会社でSEをやっていたころ、入社して3年目くらいだったと思いますが、 とある新規開発プロジェクトで、社内で開発実績のない新しい技術の採用を 提案しようとしたことがあります。

最終的にそのプロジェクトでは社内で開発実績のあるものが採用されました。 その理由の一つが「新しい方は前例がないから」

当時の自分は「そんなこと言ってたらいつまでたっても新しい技術が採用される日はこないし、 開発実績がある技術だって、最初は前例がなかったはず」なんてことを思っていました。

あとになって考えてみると、リスクを取ってでもその技術を採用するメリットや 根拠をきちんと説明できていなかったように思いますし、新しい技術を使うことが必ずしも正しいとは限らない。 予算や納期の問題もあるし、会社としてもボランティアで仕事をやってるわけじゃないですしね。

実績に頼って既存の技術を使い続けるのか、新しい技術に乗りかえるのか。 いつかは新しい「前例」を作らなきゃいけない時がくるかもしれない。 一方で、一時的な流行で廃れてしまったり、古い技術が見直されることも少なくありません。 新しい技術が誕生するスピードが早くなればなるほど、判断を強いられる機会は増えていきます。 その結果が実績になり、ひいては会社の方向性にもつながっていく。

会社と個人で単純な比較はできませんが、個人で考えてみると「やったことがないから」を 理由に避けてきたことも、「やってみたら案外できた」こともどちらもあって、その積み重ねが良くも悪くも今の自分。 守りに入ってしまいがちな自分と戦いながら、後者を積み重ねていきたいものです。 *1

*1:むしろ意識的にやっていくくらいの危機感がないと……