この本を知ったかきっかけは忘れてしまったんですが読んでみました。
小さなチーム、大きな仕事〔完全版〕: 37シグナルズ成功の法則
- 作者: ジェイソン・フリード,デイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソン,黒沢 健二,松永 肇一,美谷 広海,祐佳 ヤング
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2012/01/11
- メディア: 単行本
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読んでいて納得するところだらけだったので、自分が取り上げられそうなところをいくつか。あとの引用はすべて本書からです。
計画は予想にすぎない
計画を作っただけで、実際には制御できないものをコントロールした気になる
何事も計画を立ててやれ。こう言われるのはビジネスの世界だけではありませんが、規模の大きなプロジェクトほど当初の計画通りに進むことは少ないように思います。
計画なしに仕事をするのは恐ろしく思えるかもしれない。しかし現実と折り合わない計画にしたがうのは、もっと恐ろしいことだ。
事前に計画を立てることに時間や手間をかけるのではなく、必要な情報が得られるタイミングで今やるべきことを実行していく。走り出さなきゃいけないのに、計画だからと止まったままでいるのは本末転倒だと。
「時間がない」は言い訳にならない
何か本当にしたいことがあれば、他にやることがあろうとも時間をつくる
例えば自分がものすごく行きたいライブやイベントがあったら、どんなに忙しくても調整しようとするもの。自分が好きなもの、やりたいことへのパワーははかりしれません。だから「時間がない」のではなく「時間をつくろうとするだけの情熱がない」
何かを始めるのに完璧なタイミングは決して到来しない
実際に始めてみないと分からないことのほうが圧倒的に多いんですが、どこからともなく理由を見つけてきては躊躇してしまいます。完璧なタイミングを待って何もしないのが一番もったいない。
制約を受け入れる
「私には十分な時間も、お金も、人脈も、経験もない」と嘆くのはやめよう。少なければ少ないほどよい。制約は見方を変えれば武器である。
「自由に文章を書いてください」と言われても何を書こうか悩んでしまうけど、テーマを与えられると書きやすくなります。なんでもできる、なんでも手に入りやすくなった時代だからこそ、むしろ制約が多い道を選ぶべきなのかもしれません。
ヒーローにはなるな
やめることが最善の方法となりうることを覚えておこう。
取り組んでいる仕事が予定よりも大幅に時間が取られてしまうと、どうにかしてやり遂げようと「ヒーロー」になろうとする。働きすぎにもつながってしまう。そうなる前に本当にその価値があるのか見極めるべきで、やめることが正しいこともある。
これよりも前の節ではこんな言葉もあります。
本当のヒーローは、仕事をさっさと片付ける方法を見つけだし、とっくに帰宅している
自分自身、本来の目的を忘れて「何がなんでもやり遂げよう」と執着してしまったことはたくさんあって、今もそうかもしれません。ダメな「ヒーロー」になっていないかを自覚するのは難しいですね。
顧客を(あなたよりも)成長させよう
ひとりの顧客の要望のために手を加え、変更したために、その製品の本来の顧客基盤が離れていってしまう。
ユーザーとしては(もっと良くなるはずだという思い込みも含めて)「あの機能がほしい、こうしてほしい」を言ってしまいがちです。要望に応じて改善されたとしても、この先もずっと使い続ける保証はできないし、製品の将来にとって良いことなのかはまったく別の話。
そもそも顧客が僕らの製品をモノにできないよりも、むしろ顧客には僕らの製品を追い抜いてほしいと考えていた。
製品が合わなくなってきたら、他社が提供する別の製品を使ってくれて構わないということ。既存の顧客にとらわれすぎない。普通ならつなぎとめることに必死になってしまいそうですが、そこでノーを言えるのは自分達がやっていることの自信の表れでもあるように思います。
まとめ
ビジネスが対象になっていますが、基本的な考え方はソフトウェア開発(アジャイルやUNIXの思想など)に似ています。そのままビジネスに適用したといってもよさそうなくらいです。
小さな企業はもっと大きければと願っているのに、大企業は身軽で柔軟であることを夢みていることに気づいているだろうか?
「小さなチーム」のメリットを語っていくことは、大企業に対する皮肉も多く含んでいるわけですが、もちろん世の中には大企業にしかできないこともあるわけで、中にはその看板は持ちつつも「小さなチーム」として仕事ができている会社もきっとあるはず。
全体を通して著者の実体験に基づいてストレートに書かれています。言われてみると当たり前に感じることもありますが、現実をしっかり見て自分達の信念を貫き通すこと、その一方で進むべき道を間違えないことがいかに難しいか。これからビジネスを始めるとかでなくても、個人や少人数のチームで頑張りたい人、特にIT業界の人間にとっては共感できる部分が多いと思います。